国民民主党三重県連
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- 党本部
- 2021年03月09日
【衆本会議】岸本幹事長代理が閣法「デジタル庁設置関連法案」に対して質問
国民民主党の岸本周平幹事長代理(衆議院議員/和歌山1区)は9日、国民民主党・無所属クラブを代表し、政府が提出した「デジタル庁設置関連法案」に対する質疑に立ちました。
質問の全文は以下のとおり。
デジタル庁設置関連法案に関する代表質問
2021年3月9日
国民民主党・無所属クラブ 岸本周平
明後日3月11日に、東日本大震災から10年目を迎えます。改めて、お亡くなりになられたすべての方々に哀悼の誠をささげますとともに、被災された皆様に改めてお見舞いを申し上げます。
(経緯)
さて、2000年にIT基本法ができて、「電子政府」ということが言われ始めてから、20年が経ちました。この間、私自身も、通商産業省の情報処理システム開発課長として「電子政府」を担当した後、政治家として2013年のマイナンバー法や内閣法の改正による政府CIOの設置、2014年のサイバーセキュリティ基本法、2016年の官民データ活用推進基本法、2019年のデジタル手続法など、議員立法も含め、いろいろな法律にかかわって参りました。これらの仕組みのもと、これまで、ハード面、例えばネットワークや電子申請システムの整備などは一定程度進んできました。
一方で、昨年来の新型コロナウイルス感染症の拡大は、マイナンバーカードの普及率の低迷、オンラインによる給付金申請手続の不具合、自治体ごとのシステムの乱立や教育や医療のデジタル化の遅れなど、20年経っても、我が国のデジタル化には多くの課題が残っていることを浮き彫りにしました。
また、デジタル化を進める過程で、「2000個問題」と呼ばれるように、自治体ごとに個人情報保護ルールが異なることが地方のデジタル化を阻害している問題も明らかになりました。政府に設置したCIO制度についても、せっかくの強い権限にもかかわらず、その活用が十分に行われていない状況にあります。このように、残念ながら我が国は、世界のデジタル先進国から大きな差をつけられている状況であります。
昨年9月にデジタル改革担当大臣に平井大臣が就任されて、こうした長年の課題を一気に解決するべく、デジタル庁の設置、デジタル社会形成基本法の制定、官民の個人情報保護ルールの一元化、預貯金口座へのマイナンバーの付番の促進などを含む、デジタル改革関連法案が作られました。ここまで来たことには非常に感慨深いものがあります。いよいよこれから、すっかり遅れてしまった我が国のデジタル化を強力に進めていくことが期待できます。
(設置法)
それでは、まず、デジタル庁についてお尋ねします。
デジタル化は掛け声だけでできるものではなく、また、デジタル化するとしても単に既存のものをデジタルに置き換えるというだけでは何の意味もありません。例えば、政府のデジタル化を行う際には、業務改善を併せて行い、行政のスリム化を行うことが当然なのですが、これまでは必ずしも出来ていませんでした。愚かな政府が、愚かな「電子政府」になっただけです。
さらに、デジタル化については、非常に専門的な知見が必要となります。しかし、情報システムの整備一つを見ても、これまでの霞ヶ関では、デジタルに詳しい人材がいないということもあり、ベンダーに丸投げでした。
真にデジタル化を進めるのであれば、各府省庁の抵抗を排除するため、デジタル化を進めるための業務を明確にし、デジタル庁に権限や予算をしっかりと与えつつ、その中に民間人をはじめとする優秀なデジタル人材を多く抱える必要があります。
そこで、菅内閣総理大臣にお伺いします。デジタル庁が社会全体のデジタル化の司令塔となるべく、どのような業務を担当させるのか、そのためにどのような権限を与えるのか、また、デジタル庁において民間人材をどのように活用するつもりなのかお答えください。
(地方のデジタル化)
次に、地方のデジタル化について平井デジタル改革担当大臣にお伺いします。
デジタル化については、汎用的なものはクラウドにのせ、多くの主体が使うことで、効率性が高まりますが、一方で、地方公共団体については、地方分権とのバランスをとることも必要なことです。そこで、デジタル庁は地方公共団体のシステムにどのように関与するのかお答えください。
また、我が国では、先ほども申し上げましたが、地方自治体ごとに個人情報保護ルールが異なり、「2000個問題」とも呼ばれているように、地方のデジタル化やデータの利活用を阻害しています。例えば、最近でも、地方公共団体の多くの条例に存在するオンライン結合制限の規定が、政府の進めているGIGAスクール構想の推進や、新型コロナウイルス感染症の感染者の共有システムであるHER-SYS(ハーシス)の活用のハードルとなりました。
今回、個人情報保護法を改正して、地方公共団体に直接国の法律を適用することによって、いわゆる「2000個問題」は解決するのかお答えください。
(マイナンバー・マイナンバーカード関係)
さて、冒頭にも申し上げたように、明後日で東日本大震災から10年を迎えますが、自然災害や感染症の流行などの不測の事態は、いつでも生じうるものと覚悟して、準備を怠らないようにすることは、今を生きる我々の責務です。これから作ろうとするデジタル社会では、不測の事態があっても安全安心な暮らしが確保されるようにしていく必要があります。
その大前提として、デジタル社会を支える基盤であるマイナンバーカードの普及を進める必要がありますが、いまだ4人に1人程度の普及にとどまっております。デジタル社会の実現に向けて、更なる普及が必須だと考えますが、今回の法改正を通じて、今後、どのようにマイナンバーカードの普及を進めていくお考えか武田総務大臣に伺います。
また、今回のデジタル改革関連法案のなかで、政府は、預貯金口座を国に登録することを求める法案を提案していますが、これによって災害などの緊急時の対応にどのように活かされるのでしょうか。昨年の特別定額給付金のような混乱は生じなくなるのでしょうか。平井大臣にお尋ねします。
また、国への口座の登録とは別に、金融機関においてマイナンバーを付番すること、これは長年の課題となっております。今般のコロナウイルスによって生活が激変してしまった方も多くいらっしゃるなか、真に救うべき方に手を差し伸べ、その一方で、不正を許さない公平、公正な社会保障制度や税制を実現していくことが不可欠です。こうした理想の実現にむけて一つの基礎となるものが、マイナンバーの付番です。
マイナンバーの預貯金口座への紐づけ、これは今回政府の提案する仕組みによって本当に広まるのでしょうか。すべての銀行口座をマイナンバーに紐づけするよう義務化すべきだと考えますが、平井大臣いかがでしょうか。
(締め)
最初に申し上げたとおり、私も含め我が国のIT戦略にかかわってきた多くの仲間が主張してきたことが、今回の法案によって、一歩前進しようとしていることは大変うれしく思います。しかし、これは終点ではありません、私たちはまさにスタート地点に立ったばかりです。これから、デジタル庁が社会全体のデジタル化の司令塔として、我が国のデジタル化をリードしていくことを期待して、私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
以上