党本部
2021年04月22日

【参本会議】川合参議院国対委員長が少年法改正案について質問

川合孝典参議院国会対策委員長(参議院議員/全国比例)は23日、参議院本会議において、「少年法等の一部を改正する法律案」について質問しました。質問内容は以下の通り。

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少年法等の一部を改正する法律案に対する質問

国民民主党・新緑風会の川合孝典です。
私は、会派を代表し、ただいま議題となりました少年法等の一部を改正する法律案について質問致しますが、まずその前に本日、決定される緊急事態宣言に関して菅総理に2点伺います。

まず「まん延防止等重点措置」の政策効果について質問します。東京や大阪などでは、これまで「まん延防止等重点措置」が講じられて来た、にも関わらず、僅か1か月余りで緊急事態宣言を再発令せざるを得なくなりました。このような事態に直面し、菅総理は、鳴り物入りで導入した「まん延防止等重点措置」の政策効果について今、どのように評価しておられるのかを伺います。
次に緊急事態宣言の再発令にあたっての補償のあり方について菅総理に質問します。政府はこれまで感染拡大リスクが高いと言われる業種に対して、時短営業や休業を、要請ベースで行ってきましたが、企業・店舗も生き残りのため、今も営業継続せざるを得ない状況に置かれています。中途半端な対策では感染拡大防止の効果が得られないことは、これまでの対策結果が物語っています。期間を区切って、事業規模別の休業補償を行うことを前提として、時短営業や休業の指示を徹底することで緊急事態宣言の実効性を高めるべきと考えますが、総理の認識を伺います。

それでは、少年法等の一部を改正する法律案の質問に入ります。
公職選挙法や民法における成年年齢の18歳への引き下げに伴い、今般少年法改正案が提出されましたが、ここで18歳及び19歳の者を新たに「特定少年」と位置付けることが提案されています。来年4月1日の改正民法の施行によって、18歳及び19歳の者は、親権に服さず、その行為能力が認められることになります。成年として認められた以上、その行為能力に見合った責任を負うという考え方は、国民にとって理解しやすいものであり、成年年齢引き下げの趣旨とも整合しているものと考えられています。
しかし一方で、20歳未満の者に対して定められている未成年者飲酒禁止法や未成年者喫煙禁止法等の規制は今後も継続する方向で検討されており、全ての法律が横並びで成年年齢を引き下げているわけではありません。私は、それぞれの法律が律する目的や趣旨を法律毎に個別具体的に検討すべきであると考えます。そうした視点に基づくと、本法案が18歳及び19歳の者を少年法上の少年と位置付けているにも関わらず、「特定少年」として大幅な特例を認めることは、少年法本来の目的である「少年の健全な育成を期する」こととの間に法体系上の不整合を生じてさせることになるものと考えます。またその結果、法改正後の運用上、混乱を招くのではないか、と危惧しています。少年法の理念を守りつつ、「特定少年」をどのように取り扱うのかが今後問われることとなります。そうした観点から以下、質問します。

まず、現行少年法の理念及び評価について伺います。現行少年法は第1条で、少年の健全な育成を期す、という目的を定めています。この健全育成の理念が設けられた理由と、この理念に基づき、これまで18歳及び19歳の少年の処遇を行う上で、現行少年法が果たしてきた機能に対する、法務大臣の認識を伺います。また、少年法第22条第1項は「審判は、懇切を旨として、和やかに行うとともに、非行のある少年に対し自己の非行について内省を促すものとしなければならない。」と定めていますが、この理念は、特定少年に当てはまるのか、法務大臣に伺います。

次に、全件送致主義を維持すること、についてお伺いします。
本法律案では、「特定少年」も従来からの少年と同様、犯罪の嫌疑がある限り、全件を家庭裁判所へ送致するという、全件送致の枠組みを維持することとしています。この措置について、法制審議会ではどのような議論が交わされ、この結論に至ったのかを法務大臣に伺います。次に、特定少年に係る逆送規定の対象の拡大について伺います。本法律案では、特定少年について、検察への原則逆送の対象となる事件に、死刑、無期又は短期1年以上の懲役、禁錮に当たる罪、を加えるとしていますが、具体的にどのような罪が新たな対象となるのか、また、昨年における18歳及び19歳の犯罪の中で、新たに原則逆送対象事件の範囲となる一番多い犯罪類型について法務大臣に伺います。

次に、特定少年に対する保護事件から「ぐ犯」を除外する、ことについて伺います。ぐ犯少年とは、犯罪に結び付くような問題行動があり、要保護性は高いものの、犯罪に至っていない少年を指していますが、本法律案では、特定少年を保護事件の対象から除外することとしています。要保護性が高い「ぐ犯」を対象外とした理由、近年の少年保護事件における「ぐ犯」の割合、そして「ぐ犯」の事由としては何が多いのか、法務大臣に伺います。

次に、特定少年に関する資格制限の在り方について伺います。資格制限の特則は、少年の教育可能性を重視し、広く更生の機会を与え、社会復帰を容易にすることを目指すものである、とされています。しかし本法律案では、特定少年が刑
に処せられた場合には、資格制限の特則を適用しない、としていますが、その理由を法務大臣に伺います。また、この特則の適用を除外した場合、どのような資格取得が制限されることとなるのか、具体的にお答えください。

平成29年12月15日に閣議決定された「再犯防止推進計画」では、刑務所出所者が求職活動を行う上で資格を有していないことが、「就労の壁」となっていることから、法務省には、罪を犯した者等の就労促進の観点から、需要が見込まれる業種に関し、資格取得の制限の在り方について検討を行うことが求められています。仮に、特定少年に資格制限の特則を適用しないとした場合であっても、資格制限の在り方の検討を行い、その者の就労を促進することが再犯防止につながるのではないかと考えられますが、法務大臣の見解を伺います。

次に推知報道(いわゆる実名報道)の禁止の解除について伺います。
本法律案では、特定少年が公訴を提起された後は、推知報道の禁止を解除するとしています。現行少年法で少年に対する推知報道の禁止規定が設けられてきた趣旨と、本法律案で特定少年について解除することとした理由について法務大臣に伺います。また、特定少年に対する推知報道が解除される具体的なタイミングもお答えください。

次に、第5種少年院についてお伺いします。本法律案では、これまで、第1種から第4種までだった少年院の区分に第5種少年院を追加し、一定の条件下で保護観察に付された特定少年を収容することとしています。このような制度を設ける理由及び特定少年はどのような場合に収容されるのか、その手続を含めて法務大臣に伺います。

次に、施行期日についてお伺いいたします。本法律案の施行期日は、令和4年4月1日とされており、既に1年を切っています。18歳及び19歳の少年の取扱いをこれまでと大きく変えるのであれば、その趣旨や具体的な変更点などを現場の矯正・保護施設の職員にも十分周知をして、特定少年の取扱いの適正性を確保する必要があると考えられますが、法務大臣の見解を伺います。

最後に今後の保護・矯正教育のあり方について質問します。私は、今回の法改正によって、少年法上の判断基準の多くが20歳から18歳へと引き下げられることに伴い、この機会に保護・矯正教育のあり方やその対象年齢を見直すべきと考えます。諸外国では、成年年齢を18歳とする一方で、20歳を超えても裁判所の選択により、少年に準じた特則を若年犯罪者に適用するといった取り扱いを行っている事例が数多くあります。少年犯罪者の処遇の実質に着目し、より幅広い年齢での保護・矯正教育のプログラムを構築すべきと考えますが、この点について法務大臣の見解を伺い、質問を終わります。