党本部
2022年03月23日

【参本会議】礒﨑政調会長代理が令和4年度予算三案に対する賛成討論

礒﨑哲史政調会長代理(参議院議員/全国比例)は22日、国民民主党を代表し、参議院本会議で議題となった令和4年度予算三案に対する賛成討論を行った。討論の全文は以下のとおり。

「令和4年度総予算三案」に対する討論

令和4年3月22日
国民民主党・新緑風会
礒﨑 哲史

 国民民主党・新緑風会の礒﨑哲史です。

はじめに、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたしますと共に、闘病中の方々の一刻も早い回復をお祈り申し上げます。併せて、コロナ対策にご尽力いただいている全ての皆様に心より敬意を表します。

また、ロシアの軍事侵攻にさらされているウクライナ国民に連帯の意を表します。子供たちや市民への無差別攻撃、原発への攻撃を伴う武力によってウクライナの主権と領土を侵すロシアの暴挙を許すわけにはいきません。日本政府として、各国との連携や国連への働きかけだけでなく、「ロシア経済分野協力」担当大臣を外すなど、我が国独自の対応も進め、毅然とした対応を貫くことを強く求めます。

さらに、先週の、東北を中心に発生した一瞬11年前を想起させるような地震によって、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたしますと共に、被害にあわれた方々にお見舞い申し上げます。その上で、会派を代表し、ただいま議題となりました令和4年度総予算三案に賛成の立場から討論を行います。

2月22日の衆議院での採決時に、本会議で我が党の玉木代表が申し上げた通り、本予算案は私たち国民民主党が目指す姿に比べれば、100点満点といえるものではありませんでした。そこで、国民民主党は衆議院において、賃上げ税制の拡充や教育国債の発行による教育予算の倍増、トリガー条項の凍結解除などを柱とする組み替え動議を提出しました。

この組み替え動議は賛同されなかったものの、しかし我々は大局的に観て、以下の理由から賛成することを党として決定しました。

第一に、長引くコロナ禍による暮らしや経済への重大な影響への対策として、予算の早期成立が求められていること。

第二に、賃上げや人づくりを重視する姿勢は、国民民主党が先の衆院選から掲げ続けている「給料が上がる経済の実現」、「人づくりこそ国づくり」の方向性に沿ったものであること。

そしてその際に第三の理由として挙げた、「トリガー条項の凍結解除によるガソリン代値下げを検討する」としていたことについても、その後の協議や参議院での審議などを経て、実務者協議が始まることとなりました。早急なトリガー条項の凍結解除に加えて、重油や灯油、これまで対象になってこなかった航空燃料なども含め、燃料の価格抑制策を原油価格が一定程度下がるまで実施し続けることを改めて要望します。

コロナだけでも社会経済に計り知れない影響が及んでいる中、ロシアのウクライナへの侵略による情勢の緊迫化、混迷が原油価格をはじめとした物価上昇などをもたらしていることが加わって、国民生活がさらに圧迫されています。そうした非常事態とも言える状況が続き、先行きが見通せない状況にあるからこそ、今回の当初予算案への野党による賛成が「異例」の出来事と評されても、我々国民民主党は国民生活と経済にとってベストな答えを見出すべく、政府与党と交渉し、一定の結果を出すことができたと考えています。

与野党だからといって常に対立点を探るのではなく、徹底した議論の上に、国民にとってベストといえる結論を得ること、それが改革中道の政治姿勢であると私たちは考えます。国民民主党は、引き続き「対決より解決」、「政策主導型」の政治スタイルで機動的、建設的に政策提案をしていきたいと思います。

その意味で、衆議院でも指摘した通り政府予算案には不十分と考える点があることから、ここ参議院でも改めて我々の政策提案をさせていただきます。

特に、私たちが重視している「人づくりこそ国づくり」、いわゆる人への投資については、岸田総理は所信表明演説で「少なくとも倍増」させると述べながら、当初予算の文教及び科学振興費は増えていません。総理が言及されているように、「資本主義における付加価値の源泉は、創意工夫や、新しいアイデアを生み出す『人的資本』」にあるというのはその通りです。これまでの規模をベースに、毎年微増か横ばいの予算配分を続けていては、付加価値を生み出す前に経済がシュリンクしてしまいます。人への投資による「新しい資本主義」を本気で目指すのであれば、政策の大転換が必要であり、そのためには教育・科学技術予算を抜本的に引き上げなくてはなりません。

私たち国民民主党は「教育国債」の発行により、教育・科学技術予算を現行の5兆円から10兆円へ文字通り「倍増」させ、少なくとも10年間継続することを訴えていますので、政府の政策に取り込んでいただくよう、改めて要望します。

経済財政政策に関しては、国民民主党は、すでに参議院に提出した「給料が上がる経済実現法案」と題した税制改正法案の中で、赤字企業にも賃上げインセンティブを提供できるよう、法人事業税、固定資産税、消費税を軽減措置の対象税目にしています。政府の税制改正法案の法人税減税による賃上げ促進では、法人税を払うことができる黒字企業しか恩恵を受けることができないからです。

さらに政府案では、中小企業の控除要件を「全雇用者の」給与総額を1.5%以上増増させた場合とし、大企業の「継続雇用者の」と違えています。これでは、雇用者が増えて給与総額は増えても、従業員一人ひとりの給与が上がることには直結しません。

これらの課題が、これまでの賃上げ税制の結果が芳しくないことの主な理由となっていると思われることから、軽減措置の対象税目と控除要件について、国民民主党案を是非呑んでいただきたいと思います。

加えて、デジタル化、脱炭素化を新たな資本主義の市場のメインストリームにしていくために、投資額以上の控除を可能にするハイパー償却税制の導入や、10%から5%への消費税減税、低所得者・中堅所得者の所得を上げるための給付付き税額控除の導入、課税根拠が消失している自動車重量税の当分の間税率分を廃止することなどにより、供給、需要の両面から経済を活性化させ、ひいては給料が上がるための環境を整えていく。これらの政策を実施することを求めます。

財源については、教育・科学技術予算に対しては「教育国債」を、思い切った財政政策には日銀保有国債の一部永久国債化などで捻出するなどして確保し、対応すべきものと考えます。

ここまで、給料が低迷する経済を給料が上がる経済に転換させ、安心の国民生活を実現させるために、積極財政による政策をできるだけ早く実施することの重要性を中心に述べさせていただきました。

しかし、事態の変化のスピードはますます速くなってきており、今提案した政策の中身も、変化に伴ってリバイスが必要になってきます。また、これまでのような財政、金融といったような従来型の政策だけではなく、広く世界を見渡すと、経済安全保障、国際標準といった新たな政策の重要性が、我々が考えている以上に増してきていると認識しています。

このようなことから、現在、国民民主党では、例えば、「家計負担・事業者負担軽減及び景気対策」、「資源・エネルギー安定供給の確保及び公共交通対策」、「国民生活と地方の支援」、「ウクライナ難民支援等」、「ロシア経済協力関係予算の減額」、「島嶼防衛の強化」といったような切り口で、緊急総合対策を取りまとめようとしているところです。早急にまとめたいと思っておりますので、政府においては、追加経済対策として是非補正予算とともに検討の上実施いただきたいと思います。最後になりますが、国民民主党はこれからも永田町の前例にとらわれず、「対決より解決」の姿勢で、政策本位の行動を続けてまいりますことを申し上げ、討論と致します。