党本部
2023年03月22日

【衆本会議】田中議員が健康保険法等改正案について質問

田中健議員(衆議院議員/静岡4区)は16日、国民民主党を代表し、衆議院本会議で「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」に対する質問を行った。質問の全文は以下のとおり。

本会議 全世代型社会保障制度 質問

国民民主党 田中健

 

国民民主党の田中健です。会派を代表して、ただいま上程されました「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」について質問します。

 

【出産育児一時金について】
出産一時金の増額が示されました。出産費用は保険適用外の自由診療であるため、出産費用が一時金引き上げ以上に増加し続ければその効果が相殺されてしまいます。実際2000年代始め出産一時金は30万円でしたが、現在は42万円。比例するかのように、出産費用も上がり、当時30万円代だった平均出産費用は公立病院で平均45万円となっています。また地域差が大きく、鳥取県が平均35万7千円である一方、東京都は平均56万5千円。一回限りの出産育児一時金を引上げても、このままでは出産費用が上がるだけになりかねません。また全国で金額に差が生じている問題も抱えたままです。

 

 

どう解消していくのか伺います。将来は、妊産婦検診を含め、分娩費用等を保険適用とすべきと考えます。その上で、特別な個別付加価値メニュー以外を対象とした一時金を支給し、出産後のオムツ、ミルク等の現物支給を行い、産後サポートも併せて行うことで、子ども子育て支援へとつないでいくべきと考えますが総理の考えを伺います。

 

【社会保障の給付と負担の理解と国民的議論について】
少子高齢化・人口減少社会時代を迎え、全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築することは政治に求められた必須であり最大の課題です。
今回の法律案は、「後期高齢者の医療保険料大幅引き上げ」だと言う人がいる一方で、改革の最大の意義は「現役世代の負担減」だとも言われます。程度の差はあれどちらの主張も正しい。問題は、現役世代は、自分がどれだけ高齢者に支援しているのかわからず、高齢者もいくら現役世代から支援してもらっているのかわかりにくいことではないでしょうか。今の前期高齢者納付金等の制度はかなり複雑であり、そして今回さらに複雑怪奇なものになろうとしている。「現役世代がどれだけ負担するのか」、「高齢者がどれだけ自助するのか」を全世代で考え議論する、国民的議論が必要であると考えます。そのために社会保障全体において、権利と義務の両方を伴う当事者である国民に開かれた政策決定過程に移行する必要があるのではないかと考えますが総理の考えを伺います。また、自分の問題として考え議論してもらうためには、現状の給与明細に基本保険料と特定保険料を示すとともに、例えば雇用保険のように別の徴収として独立させ、高齢者を支えるために各自がどれだけ負担しているか、わかりやすく見える化を行うことを提案します。現役世代の理解促進につながると思いますが、総理いかがでしょうか。

 

 

【かかりつけ医療機能の制度整備について】
まずは定義です。法案には、「身近な地域における日常的な診療、疾病の予防のための措置その他の医療の提供を行う機能」とあります。つまり、「医療の提供を行う機能」としか言っておらず、これが何を定義しているのかわかりません。定義を法律に盛り込んで格上げするとのことですが、抽象的な表現に過ぎず、具体的な責務規定はありません。現場は何がかわるのでしょうか。医療の提供以外の様々な機能の明確化・規定整備が必要だと思いますが、総理の見解を伺います。

 

かかりつけ医機能が果たす役割も見えてきません。厚労省は「かかりつけ医機能の強化・活用にかかる調査普及事業」報告の中で、かかりつけ医機能に関する事例集を作り、かかりつけ医機能には多様な役割があることをわかりやすく説明していました。しかし法案では例示が極めて限定的なものになっています。かかりつけ医の果たすべき役割を、これまでの研究調査を活用して具体的例示を国民に示していくべきと考えます。今回機能役割を限定した理由と今後の方針について伺います。

 

また、新たに「かかりつけ医機能報告制度」が新設されます。報告対象が「慢性の疾患を有する高齢者その他継続的な医療を要するもの」と限定されていますが、かかりつけ医制度は健康な現役世代にとっても重要であります。コロナ禍の中で、熱患者がかかりつけ医と思っていた近隣の診療所や病院で受診を断られたり、ワクチン注射を受けられなかった事例が続出しました。当初新型コロナの自宅等療養者が相次いで死亡したのは、健康な人にかかりつけ医がいなかった・機能しなかったとが要因であり、大きな課題であったはずです。かかりつけ医機能においては、急性期の患者や健康な住民は対象外となるのでしょうか。報告対象を限定した理由を伺います。

 

これまで、かかりつけ医機能に関して、財政審や健保連を中心に、第三者が医師の機能や質を担保する「認定制」や患者が最初に受診する医師を決める「登録制」などの議論・提案がなされてきました。これらの制度において政府内ではどのような議論がなされてきたのでしょうか。今回採用するに至らなかった理由と合わせて伺います。

 

日本の医療は、いつでも、どこででもそれほど重い負担なく医療サービスを受けられるという国民皆保険制度をつくってきました。また、軽い風邪やケガでも大病院で受診ができます。フリーアクセスが当たり前だからです。自分で自由にどこの病院でも診療所でも行けるというフリーアクセスは、日本独特の仕組みであり良い面がある一方、本来、高度治療に専念するはずの大病院が患者であふれてしまい、混雑をまねているという一面があるのも事実であります。本来、医療サービスが必要な患者にサービスが行き届かないことにもなりかねないと課題を指摘されてきました。

 

政府の全世代型社会保障構築会議の報告書では、今回の制度整備はあくまで「第一歩」と位置付けています。ぜひフリーアクセス、認定制や登録制、あらゆる選択肢をタブーなく議論を続け、かかりつけ医機能が発揮される制度整備にむけてさらなる取り組みを進めてほしいと考えますが、総理の決意を伺います。