2023年05月02日

【参本会議】伊藤孝恵議員がマイナンバー法等改正案について質疑

伊藤孝恵議員(参議院議員/愛知県)は28日、国民民主党を代表し、参議院本会議で議題となった「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案」(マイナンバー法等改正案)に対する質疑を行った。質問の全文は以下のとおり。

 

令和5年4月28日 マイナンバー法等改正案

 

国民民主党・新緑風会
伊藤孝恵

 

国民民主党・新緑風会の伊藤孝恵です。私は会派を代表し、ただいま議題となりました法律案について質問いたします。

 

 

冒頭、河野大臣に「デジタル時代における人権保障規定」の認識について伺います。欧州連合は「EU基本権憲章」第8条で「何人も自らに関する個人データを保護する権利を持つ」と定め「一般データ保護規則」で権利の内容を具体化しています。
国民民主党は、デジタル改革の前提として「データ基本権」の保障が重要だと考えています。単に個人情報が保護されるだけでなく、情報の自己決定権を憲法で保障し、すべての国民はサイバー空間を含め個人として尊重される旨を、「デジタル人権」たるものを、新たな人権保障の枠組みとして備えることを提案致します。河野大臣の見解を伺います。

 

 

 

日本国内に住民票を持つ全住民に付番される12桁の番号であるマイナンバーの交付を、私たちは拒むことが出来ない一方で、マイナンバーに加え、氏名や住所ほか、住民票に記載されている基本4情報など、本人確認情報が書かれたマイナンバーカードを持つか否かは自由です。このマイナンバーとマイナンバーカードの違いがよく分からないといった声と共に、個人情報の流出や悪用、用途拡大への不安が多く拡散されている現状では、カード普及に寄与していると言えるのは、河野大臣が「邪道」と批判するマイナポイント一択です。

まさに「正道」は、個人情報の流出や悪用を防ぐセキュリティの信頼性を高め、きちんとしたプロセスで政策決定や投資がなされ、濫用を防ぐ実効的なガバナンスの仕組みを法律で定めた上で、マイナンバーやマイナンバーカードによって、政府はどのような社会を実現しようとしているのか?今は一体どのフェーズなのか?青写真を国民と共有し、各種手続きにおける効率化や、利用範囲の拡大、利便性を高めていくことで、支持される事です。
現在の、近視眼的な誘導施策が、マイナンバー制度の理解や利用拡大を、さまたげています。このような課題感から、以下、関係大臣に質問します。

 

 

 

 

 

昨年10月13日、河野大臣は記者会見において、2024年度秋までに現在の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードに置き換える、つまり「マイナ保険証」の実質義務化を表明されました。交付申請は任意であると規定する、マイナンバー法第16条の2との整合性を河野大臣に伺います。

 

 

記者会見から遡ること4カ月前の6月7日に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」では、2024年度中を目途に、マイナ保険証の“選択制”導入を目指すとし、「加入者から申請があれば従来の健康保険証も交付される」と明記されています。国民皆保険制度のもと、全ての国民の利用が想定される基盤的サービスでは、従来の健康保険証の維持は必要との政府判断だったと理解しています。その閣議決定からの大きな方針転換の経緯と理由を、河野大臣及び加藤厚労大臣に伺います。

 

 

マイナ保険証を希望しない方には、健康保険証に代わって、新たに有効期間1年の「資格確認書」を発行するとのことですが、事務の効率化に逆行するばかりか、記載内容が従来の健康保険証とほぼ同じです。健康保険証を廃止することの合理性を、加藤厚労大臣、ご説明下さい。

 

 

公金受取口座登録の特例制度の「みなし同意」についても疑問です。口座登録制度については、コロナ禍の一律10万円給付の著しい混乱を鑑みれば、その必要性は十二分に理解出来ますが、同意・不同意の確認方法が乱暴すぎます。「一定期間内に回答しない場合は同意したものとみなす」という規定は、全てにおいて申請主義の“いつもの行政サービス”とは真逆のアプローチです。ここだけ何故「みなし同意」とすることになったのか。積極的な同意を得るための説明や接点こそが、マイナンバー制度への理解を深め、支援に繋がるべき人を見つけ出す、貴重な機会になるのではないでしょうか?河野大臣の見解を伺います。

 

 

これまで多額の予算を投じて、マイナンバーカードを持ってくださいと広く呼びかけてきましたが、実質義務化するのであれば、一体あの1人最大2万円のポイント付与や、有名タレントを起用したプロモーションの数々は何だったのか?御説明頂かなければなりません。
戦略もないまま、ポイントを乱発し続けたことを、どのように総括されるのか?マイナポイント事業の費用対効果の評価および、これまでの事業予算総額、事務局コスト、ポイント付与予算額と執行額も併せて、松本総務大臣、お答えください。

 

 

 

ご高齢の方々から、ポイントを受け取る作業が難しすぎて、自分には出来ないとの声が多く寄せられています。ご担当課に聞いたところ、そのような声は1つも寄せられていないとの事でしたが、本当でしょうか? デジタルの恩恵を受けられない、いわゆるデジタル・ディバイド問題への対応と併せて、松本総務大臣および河野大臣、ご答弁下さい。

 

 

令和2年に実施された「マイナポイント事業の中間検査」について伺います。政府からの行政事業委託における広告代理店等の中抜き問題が、コロナ禍の給付金や五輪談合事件等によって明らかになりました。当該検査は総務省職員6名による自主点検で、早々に問題ナシと結論付けられましたが、第三者による検査をしなかった理由および、一般管理比率を「10%」と見積もることの、妥当性について松本総務大臣に伺います。

 

 

マイナンバーカードは既に1億枚以上、総額352億円が発注されており、特に2019年以降に発注された、およそ7千万枚は、一般競争入札ではなく随意契約で2社に発注されています。落札率は99.9%です。国や国に準ずる機関の入札は一般競争入札が原則であり、こんなにきれいに2社に分かれているうえ、入札時の説明会も行われていないとなると、談合を疑われても仕方ありません。今後も更新分などで、新たにカードは発注されると思いますが、公平公正、且つ透明性ある入札環境をどのように整えていくか、松本総務大臣、お答え下さい。

 

 

2006年に財務大臣から各府省庁に対して、随意契約の適正化についての通知があり、随意契約を行った場合は、重点的に内部監査を実施することになっています。
昨年12月1日の予算委員会において、岸田総理はマイナンバーカードに係る随意契約について「点検することは重要」とお答えになりました。その後、内部監査は実施されたのでしょうか?松本総務大臣、お答え下さい。

 

 

 

ガバナンスの課題でいえば、公正取引委員会も調査に乗り出し、財務省も問題提起している、マイナンバー関連システムについても触れておかねばなりません。岸田総理は同予算委員会で「平成27年の制度導入以来、相当期間が経過し、システムも、技術の進展に対応する必要があることから、抜本的な見直しを検討する」とご答弁されました。3点伺います。これまでのマイナンバー関連システムの投資総額と使用率、および今後のシステム投資の具体的な計画。その際、スマートフォンを前提として再設計すれば圧倒的にコストは下がるとの指摘がありますが、河野大臣のご見解を伺います。

 

 

情報連携に係る見直しは、個人情報保護委員会等の監視だけでは足りず、国会の関与は不可欠です。マイナンバーの利用範囲の公開や、「準ずる事務」の判断基準の公表、国会への定期報告、国会または第三者からの是正要請を可能にする仕組みが必要です。それによって国民の、情報を管理する側への信頼は確実に高まります。河野大臣、ご検討ください。

 

 

週末、小さな新聞記事に目が留まりました。ウクライナ侵略で兵員を確保したいロシア政府が、召集令状の電子化を決めたという内容です。従来の紙の令状は手渡しの必要がある為、受け取りを避けようと行方をくらましたり、国外に脱出する人が相次いだため、多くの国民が“各種行政サービスを受けるために”登録していたインターネット上の統一システムを使って、令状を個人アカウントに送り付け、受信した者はその瞬間から出国出来なくなり、一定期間内に徴兵当局に出頭しなければ、自動車の運転や不動産等の取引も禁じられるそうです。
個人情報やプライバシー権は、言わずもがな権力者でなく私たち一人ひとりの手の中にあるべきで、それを担保する仕組みがどうしても必要です。
説明なき政府の裁量拡大や、強引なカード取得促進を図れば、かえってマイナンバー制度への拒否感が生まれます。マイナンバー制度は「行政デジタル化」の核となるものだからこそ、政府が信頼を獲得していく努力を今、怠らずに取り組んで頂くことを切に願うと共に、最後に「ブラック霞が関」について付言致します。本法案が、衆議院から送付されたのは昨日午後。今朝の参議院本会議に向けて何人ものスタッフが夜通し作業しています。日本の頭脳が今、壊れかけています。霞が関の理不尽な働き方が原因です。私たちの振る舞いが、官僚の、そして官僚のみならず、霞が関を取引先とする方々の働き方に直結していることを、自戒を込めて申し上げ、私の質問を終わります。

 

 

 

以上