2024年04月22日

【参本会議】榛葉幹事長が岸田総理の訪米帰朝報告に対する質疑

 

榛葉賀津也幹事長(参議院議員/静岡県)は19日、参議院本会議で岸田総理の訪米帰朝報告に対する質疑を行った。質問の全文は以下の通り。

「岸田総理の帰朝報告」に対する質問

令和6年4月19日
国民民主党・新緑風会 榛葉賀津也

【はじめに】
私は、国民民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました帰朝報告に対し、岸田総理に質問します。総理、訪米お疲れ様でした。訪米中、永田町では見たことのないような、満面の笑みをたたえた岸田総理を拝見いたしました。総理、是非、日本の国会でもあの笑顔を我々にも向けてくださるようお願いいたします。

【トランプ氏再登場への備え】
日米の蜜月を強調した岸田総理とバイデン大統領でしたが、両首脳に共通するのは、正に「内憂外患」です。お二人が蜜月ぶりをアピールすればするほど、総理は9月の、バイデン氏は11月の、自国 での審判が懸念事項であると、両国民は感じています。
今回の首脳会談では姿こそありませんでしたが、影の主役はバイデン大統領のライバルであるトランプ前大統領でした。バイデン大統領の言動一つ一つがトランプ氏を意識したものである一方で、トランプ氏復帰を揶揄する「もしトラ」「まじトラ」「ほぼトラ」などという言葉が囁かれ 、今では「トランプ 当選確実」の「確トラ」なる言葉まで流れ始めました。総理、2016年アメリカ大統領選挙における右往左往はもう懲り懲りです。十分予測される「トランプ氏再登場」に総理はどのように備えているのか、また我が国にトランプ氏と気脈を通じる人物が存在するのかお伺いします。

【日米同盟の深化】
今回の首脳会談は、日米関係が従来の「 盾と矛の関係」から、より盤石で自立した「グローバル・パートナー」となる節目になりました。米国を軸にしたバイの同盟関係を重視する「ハブ&スポーク型同盟」から同盟国同士が関係を強化する「ネットワーク型同盟網」へと変容したとも言えます。その背景には、日米共通の脅威国の強大化と米国の国力の相対的な低下があります。言い換えれば、我が国が国際秩序の維持において米国を頼る存在から、頼られる存在に変化し始めていると言うことでもあります。総理、今こそ日本は対等な同盟国として、米軍優位の日米地位協定の見直しなど、主張すべきはハッキリと主張すべきであることを強く訴えます。
総理のご認識をお聞かせください。

今回の首脳会談の成果の一つが、日米両政府が防衛装備品の共同開発や生産に向けた協議体新設の合意です。5月末にも「日米2+2」を開催し、防衛産業分野でも連携を強化するとのことですが、軍事 的影響力を強化する中国に対抗するためには、スピード感と更なる内容の充実が重要です。具体的にどの種の装備品が共同開発・生産の対象になり、どのようなスケジュールで協議を推進するのか、総理の説明を求めます。防衛装備品の協議には防衛省のみならず、外務省や経済産業省の協力が不可欠です。協議体には、各省庁の事務レベルのみに偏らず、各幕や民間企業の意見を積極的に取り入れるべきと考えますが、総理の見解を求めます。岸田内閣が防衛基盤の強化に尽力されていることは評価します。しかし、それを支える防衛装備庁の体制がまったく不十分です。日米合意に基づく施策の着実な実施と同志国との関係強化のためには、防衛装備庁の定員・実員を大幅に増やす体制の強化が急務だと思いますが、総理の認識をお伺いします。

【USスチールの買収】
次に、日本製鉄によるUSスチール買収についてお伺いします。USスチールの臨時株主総会で日本製鉄による買収案が承認されたにもかかわらず、120万人以上の組合員を抱える全米鉄鋼労働組合(USW)は反対姿勢を崩さず、政治問題化しています。労組票を意識したバイデン大統領も、外国企業による買収を審査する「対米外国投資委員会」の判断に先んじて事実上の反対姿勢を示すなど、日本側にとって極めて不利益な状況となっています。同盟国である日本企業の米国進出が、安全保障上の問題になるわけがなく、このような恣意的な政治介入は、再び世界に打って出ようとする日本企業の出鼻を挫くものであり、我が国の成長戦略を左右する重大な問題です。日米首脳会談後の共同記者会見で、バイデン大統領は「私は米国の労働者に対する約束は守る。そして我々の同盟関係への約束も守る」などと 禅問答のような発言をされましたが、岸田総理は、日本企業と日本経済の利益を守るために、米国に対してどのような主張をされたのか、お伺いします。

【ウクライナの出口戦略 】
ウクライナ情勢に関する支援策についてお伺いします。本年2月「日 ・ ウクライナ経済復興推進会議」が都内で開かれ、総理は「日本の戦後・災害復興の知見、民間の先進的技術を活用し、官民一体となってオールジャパンで取り組む」と表明されましたが、総理、その具体的メニューは何ですか。ご説明を願います。ウクライナのインフラ復旧や経済再建の支援は、日本企業にとっても大きな貢献の場となり得るはずです。ウクライナの復興と地域の安定のためにも、今回の日米首脳会談においてウクライナ紛争の出口戦略についてどのような議論がされたのか、総理にお伺いします。

【日米比の連携 強化】
次に、日米比の連携強化についてお伺いします。フィリピンのマルコス大統領を交えての、史上初の日米比首脳会談の成功を評価します。特に、日米比の3ヶ国においては中国、ロシア、北朝鮮からのサイバー攻撃が多発しており、「新たな戦場」であるサイバー空間において、3ヶ国でサイバー攻撃に備える防衛網の創設に至ったことは極めて有用です。他方、我が国では一昨年の3月に自衛隊サイバー防衛隊が新編されたにもかかわらず、肝心な「能動的サイバー防御」の実現への取り組みが遅々として進んでいません。総理、サイバー防御に関する体制の整備は焦眉の急です。一刻も早いサイバー防御の強化が必要です。能動的サイバー防御導入への進捗状況をお伺いします。
日米比の懸案事項のひとつが、海洋権益の確保です。言うまでもなく、日本にとって南シナ海は、原油や天然ガスが通過する重要なシーレーンです。海上保安分野では、昨年6月に海上保安庁と米比の沿岸警備隊が初めて南シナ海で合同訓練を行い、海上自衛隊も同年8月にオーストラリアを含めた4ヶ国で共同訓練を実施しました。 野放図な海洋進出を強める中国を念頭に、南シナ海等での合同パトロールなどの実施についてどのような協議がなされたのか、総理にお伺いします。
フィリピンの内政においては、マルコス大統領とドゥテルテ前大統領の長女・サラ副大統領との亀裂が表面化しています。マルコス政権の折り返し点となる来年の中間選挙と2028年の大統領選挙を見据えて、対米関係を再構築したマルコス大統領と中国への融和姿勢を取るドゥテルテ家とのさや当てが始まってい ます。日米比の関係強化を揺るぎないものに深化させることは、安全保障上のみならず、半導体やデジタル、次世代原子力などの様々な分野での連携にも極めて重要です。フィリピンの大統領選の結果に左右されない日米比の連携強化のメカニズムを構築すべきと考えますが、総理の認識をお伺いします 。
昨年、自衛隊とフィリピン軍の相互往来をスムーズにする「円滑化協定(RAA)」の交渉が開始され、また、「政府安全保障能力強化支援(OSA)」の一環として、沿岸監視レーダーシステムを供与することでも合意していますが、その進捗状況についても総理にお伺いします。

【結び】
「政局は水際まで」米ソ冷戦時代 、トルーマン大統領が分断するアメリカ国民に訴えた言葉です。我々国民民主党は、岸田内閣の政治と金の問題などの不正を許さず、徹底的に全容解明を求めます。他方、国家の存亡をかけた外交・安全保障問題に関しては、国益を考えた議論を積極的に行い、また、憲法をはじめとした「日本のあるべき姿」についても、「対決より解決」の姿勢で、スピード感をもって建設的な議論を積み上げていくことを申し上げて、代表質問といたします。