2023年03月09日

【参本会議】大塚代表代行が所得税法等改正案について質問

大塚耕平代表代行兼政務調査会長(参議院議員/愛知県)は8日、参議院本会議において、所得税法等改正案に対する質問を行った。全文は以下の通り。

本会議質問

令和 5 年 3 月 8 日
国民民主党・新緑風会 大塚耕平

国民民主党新緑風会の大塚耕平です。ただ今議題となりました所得税法等改正案について会派を代表して財務大臣に質問させていただきます。
税制は国の骨格です。国が抱える構造問題を改善・解決するとともに、目指すべき方向へ誘導するのが税制の役割です。そうした観点から質問させていただきます。
税制に関連して、最初にデフレに対する政府の認識を伺います。退任する黒田日銀総裁の異次元緩和政策及びそれを支持した経済学者等の主張の背景には「デフレは金融現象であり、金融緩和で解決できる」との論理が通底していました。
もともとデフレの原因は、金融現象の影響、実体経済の影響、心理面の影響の 3 つの角度から議論されていました。
黒田日銀の壮大な社会実験は「金融現象なのだから思い切った金融緩和を 2 年程度断行すれば解決する」という論理でした。しかし 10 年を経た結果、「デフレは金融現象ではない」あるいは「金融緩和だけでは解決しない」ことが明らかになったと言えますが、黒田日銀の 10 年間に対する評価とデフレの原因についての認識を伺います。
実験結果を得るために払った代償は大きく、異次元緩和の 10 年の間に、他の要因も相俟って、わが国の経済や社会は多くの構造問題を抱えました。
第 1 に、コスト偏重思考の海外進出の結果、国内生産の輸出品が減少し、貿易収支は赤字化し、経常収支は第 1 次所得収支で支えられる構造になりました。
第 2 に、第 1 の変化の結果、サプライチェーンと原燃料・エネルギー・食料等の海外依存傾向が強まり、安全保障上深刻な問題を抱えた国家構造が極まりました。
第 3 に、2000 年代後半までは、日本の企業・産業・経済に対する期待から円高傾向が続いていましたが、以後は円安傾向となり、異次元緩和も相俟って、一昨年来、単なる円安ではなく「日本売り」の様相を呈しています。
第 4 に、その間に技術革新が加速し、新興企業を巡る世界の勢力図が激変。流れに取り残された日本の生産性低迷は異次元緩和下で固定化しました。
第 5 に、第 4 の結果として諸外国の所得水準が上昇した一方で、日本は停滞。勤労者や消費者の可処分所得は増えず、実体経済低迷を深刻化しました。
以上の第 1 から第 5 の構造を改善するための工夫が、今回の税制改正の内容にどのように盛り込まれているか、伺います。
第 6 に、異次元緩和によって日銀が国債を大量購入し、事実上の「財政ファイナンス」状態が構造化しました。この構造をどのように認識し、今後どうしようと考えているのか、伺います。
以上のように、異次元緩和等の影響から構造問題が極まった中で、国民民主党は、選択可能な政策的工夫として、日銀保有国債を一部永久国債化して財源確保を図る一方、ETF、REIT 等を計画的に売却し、成長戦略と出口戦略を両立させ、確保した財源で、人材育成、技術開発、産業支援、防衛強化等、喫緊の課題に迅速に充当することが不可欠と考え、税制改正においても、そうした対応を促す内容、すなわち一例を挙げれば設備投資に対するハイパー償却税制等を提案しています。
ただ今申し上げました国民民主党の政策パッケージについて、所見を伺います。
以下、国民民主党が昨年末にまとめた提言書「令和 5 年度税制改正と財源について」の内容に沿って何点か伺います。
新生児出生数が 80 万人割れとなりました。少子化対策はわが国の命運を握ります。現役世代の出産・子育て・教育負担軽減に資する税制改正が必要です。
児童手当の所得制限変更に伴う年少扶養控除復活、ベビーシッター料・保育料・塾代・下宿代・授業料等子どもにかかる諸経費の所得控除制度創設、子どもの養育に関わる扶養控除引上げ等の対応が必要です。これらの内容に関連して、今回の税制改正案ではどのような工夫がなされているか伺います。
N 分 N 乗方式等、多子世帯ほど納税負担が軽くなる制度の導入が必要です。N 分 N 乗方式に関する認識、及び今回の税制改正案では多子世帯に対する配慮、工夫がどのように行われているか、伺います。
国民民主党は子どもに関する政策制度における所得制限は合理性に欠けると考え、累次に亘り「所得制限撤廃法案」を提出しています。税制を含め、子どもに関する政策制度に所得制限を設けている根拠、政府としての考え方を伺います。
現役世代の負担軽減のため、勤務先が提供する諸手当の非課税限度額引上げ、単身赴任者帰省旅費・住宅費等の非課税化等も必要です。これらに対する認識、及び今回の税制改正案における工夫を伺います。
国民民主党は一昨年来、老後の資金不足問題や格差固定化防止等を踏まえ、積立 NISA 等の拡大を提言してきました。今次法案に盛り込まれ、制度の恒久化も目指していることは評価します。
但し、NISA 利用が特定層に偏る傾向があることの是正、勤労者の安定的将来設計及び長期投資による産業育成等の観点から、一般型と積立型のバランスは少なくとも同額、あるいは積立型が一般型を上回ることが望ましいと考えます。税制改正案では、逆に一般型が積立型を上回っていることの理由、及びただ今申し上げた提案に対する認識を伺います。
また、投資額自体が所得控除されていないために、米国 401K 等に比べて投資インセンティブが高まりません。格差拡大抑止と平均的勤労者世帯の投資インセンティブ向上のため、一定所得以下の場合、NISA 投資額の所得控除制度を導入すべきと考えますが、認識を伺います。
いわゆる「1 億円の壁」是正のために年 30 億円超の最低負担率導入を決めたことは格差是正の観点から一歩前進ですが、1 億円から 30 億円の階層を放置した理由、及び当該層に1 億円未満層の負担率 27%よりも若干高い税率、例えば 10%を加算した率を賦課する提案について、認識を伺います。
インボイス制度導入による混乱に配慮し、納税額 2 割特例、売上高 1 億円以下商品 1 万円未満特例等の工夫を講じるとしていますが、そうした対応自身が制度の不合理性を象徴しています。
その原因は複数税率に起因します。国民民主党は税率 5%への引下げ、単一税率化を目指すとともに、インボイス制度の凍結・中止、少なくとも開始延期、及び改正電帳法の適用延期を訴えてきました。
改正電帳法の宥恕措置が延長されたことは評価しますが、延長はいつまでかお答えください。完全適用された場合、多くの事業者・税理士等がシステムベンダーを介してクラウドにデータを保存するものと想定されますが、そのクラウドが外国企業提供の場合は経済安全保障上の懸念があります。
経済安保及び IT セキュリティの観点から、日本独自のクラウドを創設し、宥恕解除時には当該クラウドの使用を法定すべきと考えますが、認識を伺います。
最後に自動車税制について伺います。走行距離課税や EV 等に対するモーター出力課税
等は、エコカー普及阻害、脱炭素化逆行等、多くの問題を内包しています。また、現行の自動車重課税化は景気に対してマイナスです。これらに関する認識を伺います。
国民や産業及び技術革新にとって必需品である自動車に対する減税は、景気対策、脱炭素、産業振興の観点から一石三鳥です。自動車減税に関する今次法案における工夫、及び令和 6年度以降の方針を伺います。
税制は国の骨格です。日本の経済や社会が構造問題を抱えているとすれば、それは骨格が歪んでいるからにほかなりません。国民民主党は問題を正直に認識し、偏らない、現実的な税制を目指すことを申し上げ、代表質問といたします。

以 上