国民民主党三重県連
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- 2024年02月05日
【衆本会議】玉木代表が岸田総理の施政方針演説に対する代表質問で登壇
玉木雄一郎代表(衆議院議員/香川2区)は1日、衆議院本会議において、岸田総理大臣の施政方針演説に対する代表質問を行った。全文は以下の通り。
第213回国会における岸田内閣総理大臣施政方針演説に対する代表質問
令和6年2月1日
玉木雄一郎(国民民主党・無所属クラブ)
国民民主党代表の玉木雄一郎です。本日で能登半島地震の発災から1ヶ月。被災された皆様にお見舞いを、失われた尊い命に心からのお悔やみを申し上げます。1月15日に被災地を訪ねましたが、そこで見聞きした現場の声を届けるべく震災対応から伺います。
(被災者生活再建支援金の上限倍増)
1月5日の与野党党首会談で、私は2004年から変わらない最大300万円の被災者生活再建支援金を増額すべきと総理に申し上げ、野党各党とともに法案を提出しました。政府は、石川県を実施主体として、高齢者世帯などに限って最大300万円を上乗せする制度の創設を検討しているようですが、被災したのは高齢者だけではありません。総理、なぜ被災者に分断を持ち込むのですか。シンプルに上限額を倍増して全ての被災者の生活再建を支援すべきと考えますが、総理の決断を求めます。
(志賀原発の安全性と災害時の情報発信)
発災当初、志賀原発の安全性について情報が混乱しました。まず、総理の口から志賀原発の安全性に問題はないことを宣言してください。原子力規制庁の担当者は発災翌日に現地に入って確認したはずですが、規制庁から現地確認の結果について情報発信はありませんでした。情報発信を電力会社任せにせず、国がもっと積極的に発信すべきではありませんか。また、原発に関する情報に限らず、今回の震災でも偽情報や誤情報がネット上で拡散されました。悪質な偽情報や誤情報について、EUのように削除義務などの法整備が必要と考えますが、総理の見解を伺います。
(補正予算編成と復興増税の有無)
能登半島地震へ対応するため、令和5年度第2次補正予算を編成すべきではないですか。年度内にもう一つ大きな災害が発生すれば予備費が足りなくなります。また、国民の中には復興増税を心配する声もあります。総理、復興増税はないと明言してください。
(全容究明が先)
自民党派閥の裏金問題は言語道断。派閥の解消や法改正の前に、まず、誰がどのような法令違反を犯したのか、その全容を岸田総裁の手で明らかにすることが最優先です。病気を正確に把握せずに手術しても治療は失敗します。党として聞き取り調査を進めるとのことですが、来年度予算案の審議が始まる前、来週月曜の朝までに自民党総裁として違反者のリストを出してください。
(議員本人の責任を問える法改正)
国民が怒っている理由の一つは、会計責任者だけ責任を問われ政治家本人の責任が問われないことです。国民民主党は、政治団体の代表である政治家本人の責任も問える政治資金規正法の改正を提案しています。自民党も改正に賛成してください。
(政党交付金を減額する仕組みの導入)
自民党には、今回の裏金事件で起訴された議員分も含めて12月の政党交付金が全額支払われています。岸田総理、自民党として起訴された議員に係る政党交付金を返還すべきではありませんか。国民民主党は起訴された議員の所属する政党への交付金は減額できる法改正を提案しています。賛成してください。
(中小企業での価格転嫁と賃上げの実現)
私は2年前の1月、「3つの4」を達成する経済政策を提唱しました。名目賃金上昇率4%、名目GDP成長率4%、そして日経平均株価4万円です。当時は無理だと批判されましたが、その実現が近づいてきています。中でも4%を超える賃上げの実現が最重要です。
その鍵を握るのが中小企業の賃上げです。それに不可欠なのが適正な価格転嫁です。昨年11月、政府が価格交渉に関する指針を作り、関係府省に点検を指示したことは評価していますが、民間の調達部門ではできるだけ安く発注したほうが評価されます。そうした慣行も変えない限り価格転嫁は進みません。取引実態や人事評価まで踏み込んだ実態調査が必要だと考えますが、総理の見解を伺います。
(トリガー発動によるガソリン減税)
今年4月末で石油元売各社への補助金によるガソリン値下げが終了しますが、被災地支援のためにも5月以降もガソリン値下げが必要です。しかし、業界への補助金は会計検査院や財務省から無駄遣いを指摘されており、トリガー条項凍結解除によるガソリン減税に切れ目なく移行することが必要です。自民党の裏金づくりへの対応策にもなります。税を取って補助金で業界に配るから、その一部がパーティー券購入に流れてしまいます。最初から税を取るのをやめれば、業界にお金は漏れません。
5月からスタートするには法改正や周知期間に時間が必要なので、今日にも総理が政治決断しないと間に合いません。総理、自民党を守るための派閥解散の決断は誰にも相談せずお一人でされたのですから、今度は、国民生活を守るための決断をしませんか。生活者、納税者、そして被災者・被災地のため、トリガー条項凍結解除によるガソリン減税の英断を求めます。
(基礎控除引き上げによる所得税減税)
2025年度のプライマリーバランス、国と地方の基礎的財政収支が1.1兆円の赤字見通しと内閣府が発表しましたが、大騒ぎする数字ではありません。適度な物価上昇と持続的な賃上げがあれば財政は自ずと健全化します。むしろ今、賃金や所得が上がる以上に税収が増える「ブラケットクリープ現象」が生じています。各国は可処分所得が減らないよう所得税の基礎控除の引き上げなどの対策を講じています。日本でも一回限りの所得税減税ではなく、基礎控除の引き上げなどインフレや賃上げに適応した所得税改革が必要だと考えますが、総理の見解を伺います。
(社会保険料負担の軽減策)
現役世代の社会保険料負担も限界にきています。その中で診療報酬が上がり、少子化対策の「支援金制度」も始まれば負担はさらに増えます。政府として、現役世代の社会保険料負担をこれ以上増やさないための戦略をどう考えていますか、公的保険制度の対象とすべき医療の範囲を再整理するなど、医療制度改革が必要ではありませんか。また、社会保険料の事業主負担が重くて賃上げができないとの中小企業の声を多く聞きます。賃上げした中小企業には、税金だけでなく社会保険料負担も減免することで賃上げを促すべきです。総理の見解を伺います。
(「年収の壁」対策の効果)
「年収の壁」対策が始まりましたが、日経新聞によると、対策があっても就労時間を増やす人は3割にとどまっています。政府として年収の壁対策の効果をどのように考えていますか。また、対策が終わったら再び就業調整するとの回答が65%もある中で、時限措置終了後の抜本改革をどう考えているのか、併せて伺います。
(教員のなり手不足対策)
国が賃上げを主導するのであれば、まずは公務員の給料を上げるべきです。特に、公立学校の先生が置かれている状況は厳しいものです。給特法を見直し、教員の皆さんにも残業代をきちんと支払い、過度な長時間労働を是正すべきと考えますが、総理の見解を伺います。また、教員のなり手不足も深刻です。かつてのように教員になれば奨学金の返済を免除する制度を復活してはいかがでしょうか。
(訪問介護の基本報酬引き下げ)
介護報酬について伺います。政府は、訪問介護の基礎報酬を引き下げますが、「施設から在宅へ」と言いながら訪問介護の基礎報酬を引き下げて本当に大丈夫ですか、人手不足で地域の訪問介護が崩壊するのではないでしょうか。また、民間には昨年の3.58%を上回る賃上げを要請しているのに、政府が直接賃上げできる介護分野での2.5%の賃上げは、「物価高に負ける」賃上げではないですか。併せて伺います。
(ケアマネ研修の廃止)
介護のケアマネージャー資格の更新研修について伺います。国として実態把握の調査を行っていると承知していますが、更新研修が大変だからケアマネを辞めるいう方もいて、今のままでは人材不足が深刻化します。地域ごとに受講料も中身もバラバラな現行のケアマネの更新研修は一旦廃止し、国として統一的に制度を見直すべきではありませんか。
(薬価の毎年改定見直し)
薬価制度について伺います。薬の原材料価格も高騰する中、医療費削減を薬価の引き下げに依存する今のやり方では、薬の安定供給やイノベーション、ひいては国際競争力を阻害します。何より製薬業界の賃上げも困難です。総理、中間年改定を決めた2016年末の4大臣会合をやり直すべきではありませんか。そもそも薬不足は解消したのでしょうか。
(高校生の扶養控除維持、年少扶養控除の復活)
児童手当の給付を18歳まで延長しても、高校生に対する扶養控除を縮減したのでは、アクセルとブレーキを同時に踏むようなものです。トータルでマイナスになる世帯はいないと政府は胸を張りますが、その程度ではとても異次元とは言えません。高校生の扶養控除を維持した上で児童手当を延長し、併せて年少扶養控除を復活させるべきと考えますが、総理の見解を伺います。
(障がい児福祉の所得制限撤廃)
障がい児福祉のうち補装具の補助について所得制限が撤廃されたことは評価しますが、福岡市が先月から、鎌倉市が4月から独自に通所支援や福祉サービスについて所得制限のない低額化や無償化を決めました。総理、成人の障がい年金には所得制限はないのに、児童の障がい年金とも言える特別児童扶養手当や障がい児福祉手当に所得制限があるのおかしいとは思いませんか。障がい児福祉の所得制限は全廃すべきです。
(「就学支援制度」の更なる拡充)
扶養する子どもが3人以上いる世帯の大学授業料無償化について、所得制限を設けないのはいいことですが、上の子が卒業したら下の子が対象から外れてしまいます。下の子も無償化の恩恵が受けられるようにすべきではないでしょうか。
(「教育国債」による子育て教育予算倍増)
「異次元の少子化対策」というのであれば、財源調達にこそ従来とは異なる新しい手法を採り入れるべきです。国民民主党は、教育・科学技術など人的資本形成に資する予算には「教育国債」という新たな国債を充てることを提案し、法案も提出しました。家庭の経済事情に関係なく大学や大学院に無償で通えるようにするためにも、教育国債の発行を前向きに検討してください。国民民主党は協力します。
(基礎研究振興のための大学運営費交付金の増額)
世界的に見て、我が国の研究開発力が失速しています。選択と集中の名の下、その時、注目を集める分野に大きな予算をつけても、予算執行時には既に時代遅れになっていたり、研究を担う人材がいなければ効果的に予算を使うことができません。総理、競争的資金に偏ったこれまでの政策を見直し、大学の運営費交付金を増額して、成果がすぐに出ないような基礎研究にも研究者が腰を据えて取り組めるようにすべきではありませんか。
(奨学金の返済免除と若者減税)
学生だけでなく、すでに大学等を卒業した人も多額の奨学金の返済に苦しんでいます。国民民主党は上限150万円の奨学金債務の免除を提案していますが、アメリカのバイデン政権は360万人に対し約20兆円を債務免除しました。総理、20代、30代の結婚を応援する観点からも、奨学金債務を免除してはどうでしょうか。
また、高校を卒業してすぐに働き始める人も多くいます。こうした若者を支援するため、国民民主党はポーランドの政策を参考に、30歳未満の若者の所得税・住民税の減免や若者控除を創設する所得税法改正案を国会に提出しました。総理、若者を応援する「若者減税」を政府としても検討してはどうでしょうか。
(ヤングケアラー支援法)
大人が担うべき家事や家族の世話を日常的に子どもが行う「ヤングケアラー」の支援を巡っては、国民民主党が法制化を求め、三党協議を経て内閣提出法案が今国会に提出されます。ご協力いただいた政府及び自民党・公明党の関係者には感謝申し上げます。他方、自治体間で支援に格差があるのも事実で、法案成立でヤングケアラー支援がどのように拡充するのか、特に4月に設置される「こども家庭センター」がどのような役割を果たすのか、具体的な支援のあり方を伺います。
(ダブルケアの実態調査)
子育てをしながら介護にも追われる「ダブルケア」の状態にある人が、毎日新聞の調査で少なくとも29万3,700人、そのうち9割が30代、40代であることが分かりました。総理、国としてもダブルケアの実態調査を速やかに行いませんか。また、介護と育児は以前は厚労省が担当していましたが、育児が内閣府の子ども家庭庁に移管されたため、新たな行政の縦割りが生まれています。総理としてどのように対応しますか。
(日本版DBSと性犯罪対策)
教員などに性犯罪歴がないことを確認する「日本版DBS」制度について伺います。今国会に提出を検討している政府案は学習塾などの民間事業者が認定制度に留まり、義務化の対象外となっています。総理、魂の殺人など絶対に許さないと言うなら、塾などの民間事業者にも性犯罪歴の確認を義務付けるべきではないですか。また諸外国同様、性犯罪者、特に小児性犯罪者に対する科学的去勢や地域住民への注意喚起、GPS装着等の厳罰化も導入すべきです。被害者には一片の落ち度もありません。恋も知らない幼い子ども達が性犯罪の被害者になっている現状を、私たち立法府の責任で変えていこうではありませんか。
(能動的サイバー防御法案の提出時期)
政府や企業へのサイバー攻撃が広がっているのに、重大なサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」を可能とする法整備が遅れています。日米同盟の最大の弱点との指摘もあります。政府としていつまでに能動的サイバー防御を可能とする法整備をするつもりですか。国民民主党は今国会に法案を提出する予定です。
(郵政民営化とNTT法改正)
自民党は郵政民営化方針を撤回し、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の株式保有を継続する法案の提出を検討しており、条文化作業に内閣法制局が関与しているとの報道がありますが、これは事実ですか。総理は郵政民営化は間違っていたと考えていますか。
また、政府が提出予定のNTT法改正案の附則にNTT法廃止の方向性が盛り込まれ、料金が高止まりしたり、過疎地域の光サービスが提供できなくなるなど、国民の利益が損なわれるとの懸念が指摘されています。総理、NTT法廃止には慎重に対応すべきではありませんか。
(「IT植民地」からの脱却)
スマホの普及で社会経済活動の基盤となっているクラウドサービスは、米国大手3社のアマゾン、マイクロソフト、グーグルが圧倒的なシェアを持っており、デジタル基盤を米国企業に握られているのが現実です。モノの移動を伴わない「デジタル貿易」による我が国の赤字は、日銀の統計分析で、2014年の2兆円から2022年には5兆円と8年で2倍以上膨む一方、我が国で十分な税金を納めておらず、いわば日本は「IT植民地」になっています。IT植民地から脱却する具体策について総理の戦略を伺います。
(原発再稼働に向けた国の役割)
世界でデータセンター等の電力消費量が急増しています。デジタル化や経済成長の前提は安価で安定的な電力供給です。そのためには、原子力発電所の早期再稼働が必要です。とりわけ東日本における安価で安定した電力供給のためには、柏崎刈羽原発の再稼働を急ぐべきです。一方、能登半島地震が発生し地域住民の不安も広がっている中、国として原発再稼働に向けて具体的にどのような役割を果たすつもりか、総理の見解を伺います。
(電力自由化の検証)
自由化した送配電部門に新規参入がないから停電解消が遅れたとの報道もありましたが、むしろ逆で、自由化によって電力の安定供給が脆弱になったと考えます。能登半島地震では、北陸電力と北陸電力送配電会社、そして、他の電力会社や送配電会社が応援に駆けつけ、一体となって取り組んだことで早期の停電解消につながりました。有事も想定し、これまで進めてきた電力自由化について冷静な検証と見直しが必要ではないでしょうか。総理の見解を伺います。
(水田活用直接支払交付金)
農林水産省が水田活用直接支払交付金の「5年に一度の水張り」要件を発表してから、農村には不安と混乱が広がっています。このままでは離農と耕作放棄地が増えます。総理、5年に一度の水張り要件は、地域事情に応じて柔軟に緩和すべきではありませんか。
(兼業農家の支援)
「半農半X」という言葉が流行っていますが、究極の半農半Xは兼業農家です。香川県では兼業農家に対する独自の支援を始める予定です。今までは非効率の象徴として支援対象から外してきましたが、今後は地域の実態も踏まえて、兼業農家も国として支援していくべきではないでしょうか。
(憲法改正は9月に間に合うのか)
岸田総理は総裁任期中に憲法を改正するとしていますが、総裁任期も残り9ヶ月。6月の今国会会期末までに発議しないと国民投票に間に合いません。改憲項目さえ絞り込めていないのに本当に改憲できるのか大いに疑問です。今日木曜日も衆議院の憲法審査会の定例日ですが、開会されていません。もう1日も無駄にできないはずなのに、やる気が感じられません。憲法改正に向けた総理の本気度をスケジュールで示してください。
(むすび)
私たち国民民主党は、これからも「対決より解決」の姿勢で必要な政策を先手先手で打ち出していきます。しかし、その前提は「正直な政治」が担保されていることです。今、自民党の派閥の裏金問題でその前提が大きく崩れています。自民党、岸田総理には、徹底した全容解明と本気の政治改革を強く求めて質問を終わります。
以上