2024年04月15日

【衆憲法審】玉木代表が憲法改正への与党の本気度等について発言

憲法審査会発言要旨(2024年4月11日)

国民民主党・無所属クラブ 玉木雄一郎

 前回、憲法審査会の議論が行われた日を覚えているか。昨年12月7日だ。あれから約4ヶ月。前回、中谷与党筆頭幹事から「起草に向けた機関」を創設する旨の発言があり、衆議院憲法審査会規程8条では、国会の閉会中も開会できるとされているのに、具体的な条文案づくりは1ミリも進んでいない。それなのに、岸田総理の威勢の良い掛け声だけは続いている。残念ながらパフォーマンスにしか聞こえない。

そこで、まず自民党の中谷筆頭幹事に確認したい。岸田総理は、3月17日の党大会で「総裁任期中に実現するとの思いの下、今年は、条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速してまいります。」と述べたが、これは、9月までの現在の総裁任期中の憲法改正は諦め、総裁選で再選された後に、秋の臨時国会で条文案の具体化を進めるという意味なのか。それとも、あくまで9月までの今の任期中の憲法改正を考えているのか発言の真意を教えてほしい。

もし今の任期中に憲法改正を目指すのであれば、今国会あと10回の審査会で、憲法改正のテーマを絞り込み、条文案を作らないと間に合わない。果たしてできるのか。正直、絶望的だと言わざるを得ない。明確なスケジュールや戦略もなくダラダラと時間を浪費すべきではない。具体的なスケジュールを示してほしい。

本年9月までの任期中に改憲したいなら選択肢は一つ。それは、これまで丁寧な議論を重ね、5会派で概ね意見の集約が図られてきた「緊急事態における議員任期の特例延長規定の創設」だ。国民民主党、日本維新の会、有志の会の2党1会派による共通条文案もある。会長にもお願いしたいのは「起草に向けた機関」を具体的に動かしてもらいたい。

もう一つ自民党に申し上げたいのは、今から他のテーマに手を広げるべきではないということだ。特に、9条の2を創設して自衛隊を明記する、いわゆる「自衛隊明記論」については、何度も申し上げているとおり、違憲論を解消できない法律的にはほとんど意味のないものであって、「労多くして益なし」の改憲案だ。まだ、個人的には、2012年の憲法改正草案の「国防軍」規定の方が法律的には整合性が取れていると考える。

自民党の「自衛隊明記案」の最大の課題は、仮に自衛隊という組織名が明記されたとしても、その自衛隊の行使する自衛権の範囲については、これまで同様に「解釈」に委ねることとしており、条文上、戦力不保持を定めた9条2項との関係で違憲論争が解消されない。そんな9条改正案にどれほどの意味があるのか教えてもらいたい。

我が党は、自衛隊の行使できる自衛権を戦力不保持を定めた9条2項の例外として明確に位置付けるなど本質的な議論が必要と考えるが、9月までに幅広い合意が得られるとは思えない。自民党として改憲テーマの範囲をどのように考えているのか。最初の発議は、複数の改憲項目である必要があると考えているのか、自民党の考えを教えてもらいたい。

次に、野党第一党である立憲民主党にもお願いがある。ぜひ、憲法改正絶対反対ではなく、前向きに議論に参加していただきたい。有事における権力統治のあり方についてはイデオロギーを超え、「国会中心主義」の観点から合意を得られるテーマだと考える。

能登半島地震が本年1月1日に発生した。あれから100日以上が経過している。先日、珠洲市を訪問したが倒壊家屋はそのままだ。発災直前に任期満了を迎えていたとして、今なお、石川3区では円滑に選挙ができない可能性もある。やはり70日を超えて選挙ができない事態に備えた議員任期の特例延長規定が必要だと考える。この間、もし近藤和也議員や西田昭二議員が国会にいなかったとしたら、被災地の実態を踏まえた議論はできただろうか。金沢では震災の痕跡もない。やはり被災選挙区の衆議院議員が必要だ。

立憲民主党は、長期間選挙ができない場合には、参議院の緊急集会を活用すればよく、議員任期の特例延長規定を活用すれば良いとの立場であると承知しているが、その対応には違憲の可能性があることも指摘しておきたい。論点を明確にする観点から、立憲民主党に答えてもらいたいのは、
まず、①緊急集会は、当初予算案も扱うことができると考えているのか
次に、②緊急集会は、条約の承認ができると考えているのか
この緊急集会の権限の限度について2問、立憲民主党の考えを知りたい。

仮に、本予算の議決や条約の承認を参議院の緊急集会に認めることになれば、それは一時的・暫定的・限定的である緊急集会の本来の権限を超えることになる。予算と条約には衆議院の優越が認められており、現行憲法の規定との矛盾も生じる。衆参同時活動の原則にも反する。70日を大きく超えしかも本予算や条約といった範囲にまで権限を広げるのならば、我々とは別の憲法改正案が必要だと考えるが、立憲民主党の考えを伺いたい。

なお、立憲民主党は、憲法改正条文案づくりよりも国民投票法の議論を先にやるべきと主張されるが、両方並行してやればいいと考える。広報協議会の強化やネット対策など賛同できる部分も多いので、我が党としても国民投票法の改正には協力したい。

憲法改正をやるやると言ってやらない与党自民党と、一字一句憲法を変えてはならないとこだわる野党第一党との間の奇妙な共闘関係が続く「ネオ55年体制」が続く限り、憲法改正をめぐって野党は割れ続け、結果、政権交代も実現しないのではないか。逆説的に聞こえるかもしれないが、今の硬直した状況を打破するためには、野党第一党が、幅広く合意が得られるテーマ、具体的には、議員任期の特例延長規定の創設で改憲議論をリードする必要があるのではないか。

立憲民主党には、野党第一党として建設的な憲法改正議論をリードされることを期待したい。そして、自民党にはスケジュールと改正項目の対象を明確にした審査会運営をお願いしたい。最後に会長には本審査会のNHK中継を導入することを求めて発言を終える。

<参考>国民民主党「憲法改正に向けた論点整理」(2020年12月)