2024年05月13日

【衆憲法審】玉木代表が憲法改正議論のあり方について発言

憲法審査会発言要旨(2024年5月9日)

国民民主党・無所属クラブ 玉木雄一郎

 憲法審査会も今国会、残り6回となった。今後の運営について以下の3点を提案したい。

①来週からは、全会派を入れた起草委員会を設置し、これまでの議論を経て概ね意見の集約が図られてきた「緊急事態における国会機能維持を可能とする憲法改正」について条文案づくりに着手すること。その際、野党3会派案をベースにしていただきたいこと。

②国民投票広報協議会の規程を整備すること。

③広く国民に議論を知っていただくためNHK中継を導入すること。

以上、3点を会長及び幹事の皆様にお願いする。

議論の分かれる論点についても、具体的な条文案をベースに議論した方が国民にも分かりやすい。というのも、憲法記念日における各種メディアのアンケートを見たが、議論もしていない架空の論点について賛否が示されているものもある。憲法審査会で何を議論しているのか、もっと解像度高く、国民の皆様にお示しする必要があると実感した。

ちなみに、「憲法改正に賛成ですか反対ですか」という問いがあるが、冷静に考えるとおかしなアンケートではないか。例えば、「法律改正に賛成ですか反対ですか」と聞かれたら、多くの国民はまず「どの法律ですか?」と問い返すはずだ。憲法改正についても「どの条文をどのように変えるのか」について問うレベルまで具体化する必要がある。そのことが無用な不安を払拭することにもつながる。

特に、大規模災害が発生した場合などに選挙実施が困難な時に、選挙期日を延長し、その間議員任期を延長することについてのルールと手続きを定めることには、多くの国民が理解を示してくれるはずだ。

この論点についての国民の理解を得るために、野党第一党である立憲民主党の果たす役割が大きいと考える。各国の例を見ても、与野党が合意できた改憲案には国民も安心して国民投票で賛成の意を示すとされている。

前回も述べたように、昨年2月22日に、泉「次の内閣」で閣議了承された「中間報告」を見ても、立憲民主党も「選挙困難事態」は否定していないし、緊急集会の位置付け、「射程」について必要あれば憲法に明記することも検討するとしている。

そこで、立憲民主党には、前回の質問に回答をいただきたい。立憲民主党は、参議院の緊急集会をできるだけ活用すべきとの立場だと理解しているが、①70日を大幅に超える期間、②憲法上、衆議院の優越が認められる「当初予算案」や「条約」も取り扱える、いわば「スーパー緊急集会」を認めるべきと考えているのか。また、それを憲法改正をせずに実現できると考えているのか、回答をいただきたい。

私たちは、参議院の緊急集会の射程は、あくまで「一時的」「限定的」「暫定的」であり、その射程を超える活用を行うなら、やはり憲法改正が必要だと考える。解釈で「緊急集会」の権限、射程を拡大するのは、皆さんが恐れる権力の濫用につながる可能性がある。であれば、衆参同時活動の原則に戻り、選挙実施困難な事態が発生した場合には、選挙期日を延期し議員任期を延長する憲法改正の方が、よりよい改正になるのではないか。

もう一点議論を整理するために質問したいのは、昨年、参考人でお越しいただいた長谷部教授がおっしゃった、大規模災害が発生した場合、「選挙が可能となった地域から順次、繰延投票を行なって当選者を決めていけばいい」そして「3分の1以上の議員が選出されたら定足数を満たす」とする考えに同意するのか。例えば、南海トラフ地震が発生し、四国、近畿、東海ブロックの各府県で選挙ができないが、他の地域ではできる場合に、その選挙結果が全国民を代表する選挙としての正当性があると言えるのか。私はとても選挙の一体性が確保されているとは思えない。こうした長谷部教授の考えに、立憲民主党は賛成するのか意見を伺いたい。  最後に、長谷部先生のような学者と私たち国会議員との間には根本的な違いがある。学者は「既存の条文の解釈」を出発点にして現状を説明する学説を組み立てるのに対し、私たち国会議員は「立法者」であり、それゆえ、例え蓋然性が低くても、可能性がある限り国民の生命や権利を守るため、あるべき法制度を構築する責任を負っているはずだ。危機に備えるかどうかを決めるのは学者ではない。それは国民の生命や権利を守る責任を背負った私たち国会議員である。私たちが決めなければ答えは出せない。

<参考>国民民主党「憲法改正に向けた論点整理」(2020年12月)